クラシック音楽を自分で録音してみたい人へ。初心者の方へ解説します。

録音 音楽


クラシック音楽を自分で録音してみたい人へ。初心者の方へ解説します。

1.機材(ハードウェア)を買う。

1.1 マイクスタンド
1.2 ステレオバー
1.3 ケーブル
1.4 レコーダー(マイクプリ付き)
1.5 マイク(無指向性がおすすめ)

2.編集ソフトを用意する

2.1 Samplitudeがおすすめ
2.2 無料ならAudacity

3.録音機会を得る

・知り合いのつてが一番。なければ作りましょう。

 

私は東京藝大で録音の勉強をして、ドイツで更に録音の勉強をし、ベルギーでバイオリン演奏の勉強をする傍ら、演奏と録音の仕事をしています。スウェーデンのBISからリリースされるCDのアシスタントに呼ばれたり、日本のオーケストラの自主製作CDのプロデューサーを務めたりしています。

・クラシック音楽が好きで、録音もしてみたい
・演奏家だけど自分で録音もしたい
・ワンポイントステレオ録音を始めたい

そんな人に向けて説明をします。

1.機材を買う

マイクスタンド、ステレオバー、ケーブル、レコーダー、マイク…なぜこの順番なのか。それは予算の関係でです。
マイクスタンド、ステレオバー、ケーブル…等はプロの録音エンジニアもアマチュアも使うものはあまり変わりません。ケーブルは拘る人もいますが、私はあまりこだわっていませんし、ヨーロッパの有力レーベルの録音でも拘っている所とそうでない所があります。これについてはまた別記事で書きます。

1.1 マイクスタンドのオススメ

私が最初の1本にお勧めするのはK&Mの円形ベース・軽量タイプの26090です。定番は210なのですが、私は26090をお勧めします。210より省スペースで設置でき、見栄えも良好です。但しあまり高くならないのですが、座って演奏するカルテットや、ピアノやチェンバロのソロなどにはぴったりです。ピアノ伴奏付きバイオリンソロなどでも、見栄えを優先する場合はアリです。

次にお勧めなのはマンフロットの1051BACです。オスダポ仕様を買ってください。
こちらは折り畳みでき、軽いです。26090より高くなります。

他に、チェロ等の低い位置で狙える楽器はショートブームのK&Mの25900B(ST259Bとも。以下259)も良いです。円形ベースのショートブームもあるのですが、重量タイプ(25960B)しかありません。26090の軽量ベースとも組み合わせられるので2つセットで買う方や買い足す方は25960Bにして下さい。でも最初に1本だけ買うなら26090ですね。

クラシックプロはあまりお勧めしません。細かい部分の作りが悪かったりするものばかりで、信頼性に欠けます。TAMA、ULTIMATE、HERCULESなども良いのかもしれませんが、クラシック音楽録音の現場では見たことがありません。K&Mは必要十分で、部品の入手が容易、価格も良心的です。
マンフロットは本来照明用スタンドなのですが、その分軽く、高くなるものが多いです。少し目立ちますが、それでも良い場合は1051BACが良いでしょう。

1.2 ステレオバーのおすすめ

K&Mの236がおすすめです。私も色々持っていますが、ちょっとした録音にはいつもこれです。他にも23550も良いですが、無指向性マイクにはちょっと狭すぎます。

1.3 ケーブルのおすすめ

とりあえずカナレ+ノイトリックのものを買っておけば間違いないです。他にはモガミ等も人気です。カナレとモガミは日本のケーブルメーカー、ノイトリックはリヒテンシュタインのコネクタメーカーです。

1.4 レコーダー(マイクプリ付き)

これは予算によって色々なのですが、私が2020年春の時点でお勧めするのは、ZOOM F6です。他にない特徴として、Float 32bitで録音できる点を挙げられます。これは、初心者がやりがちなレベルオーバーを防ぐ為に素晴らしいものですし、演奏者が自分の演奏を録音する時にもやりがちなミスであるレベルオーバーを防ぐためにも是非使いたい機能です。私はRolandのR4を10年以上使ってきましたが、近いうちに買い替えようと思っています。
他にはTascamのXLR入力があるものも良いレビューを多く見かけます。Roland R4はマイクプリの品質があまりよろしくないので、中古でもそこまではお勧めしません。といってもマイクプリも全く使えない程ではありませんし、自分の演奏をちょっと録音したいと言った時は私も使います。外部マイクプリを併用するならまったく問題ありません。

1.5 マイク(無指向性)

マイクが一番予算に左右されるものですので、お金の都合によってお選びください。
良い録音をしたいとこの記事を読んで下さっている人には、絶対的に無指向性マイクをお勧めします。
なぜなら単一指向性に比べて、
・空間的により自然に再現できる
・低音域が良い(減衰がない)
・プロの録音でもメインマイクは99%無指向性
だからです。私は日本とヨーロッパで録音の勉強と仕事をしてきましたが、自分の録音では必ず無指向性を使います。20社位の商用録音をアシスタントと見学に行ったと思いますが、指向性マイクをメインに使っていたのは1社だけです。
なお、私は見た目の問題と音の良さからラージダイアフラムではなくペンシル型をお勧めします。

私の使っているマイクからお勧め4つ

・Neumann KM183
・DPA 4006A
・Sennheiser MKH8020
・Schoeps MK2H

お金を抑えたい方向け。(但し私は使っていません。)

・RODE NT55
・Earthworks各種

2. 編集ソフト(DAW)を用意する

これはSamplitudeが一押しです。残念ながら日本では現在どの代理店でも扱われていない様なのですが、Magix社サイトやThomann等の通販サイトからダウンロードで買えます。日本語版はありませんが英語がちょっとわかれば問題ないでしょう。
日本ではあまり有名ではないのですが、圧倒的に軽く起動が早く、音が良く、複数楽章や長いコンサートのトラック分け等がとてもシンプルで使いやすいです。私は同社のプロ用のSequoiaとSamplitudeの2つを使っていますが、ほぼ同じソフトと言って過言ではありません。殆どの事はSamplitudeで事足ります。
無料で済ませたいという方はAudacityが定番だと思います。

3.録音機会を得る

自分で演奏する人は、自分の演奏や自分が参加するアンサンブルの録音から始めてみましょう。または知り合いの演奏を録音しに行くのもいいでしょう。
演奏家ではない場合、演奏家と知り合いになりましょう。でもどうやって…?と思う方は、音大生などの若い演奏家の、サロンコンサートなどをまず聞きに行って、終演後に今度録音させてほしいと話をしてみて下さい。断る人は多くないと思いますよ。但し、無断でネット上に公開したりするのはご法度です。その辺りはきちんとわきまえて下さい。

それぞれの項目について、細かく解説記事を書きます。