ズルツバッハース Sulzbacher’s Tipple Hop

ベルギービール

ベルギービールレビュー No. 6
Sulzbacher’s Tipple Hop
Gluten-free

Vol. 7%
2ユーロ程度 330ml 瓶
6本目はひげのおじさんのラベルが印象的なTipple Hopにしました。

製造会社

Sulzbachers bvba ズルツバッハース醸造所
http://www.gingertipple.com/
St Thomasstraat 51 Antwerpen B-2018

ブリュッセルに次ぐベルギー第二の都市アントワープ(またの名をアンヴェルス、アンベルス、アントウェルペン等)のズルツバッハース醸造所のビールです。

香り

これは何とも珍しい、生姜の香りのするビールです。

濃い、でも透き通った金色です。とても綺麗な色をしています。しかしそんなに泡は立たないビールのようで、結構勢いよく注いだのですがすぐに消えてなくなってしまいました。

口に入れたとたん「フルーティー!」と思いました。でも少し調べてみると、ジンジャービールだと書いてあります。言われてみればそうかこれは生姜…という感じ。どちらにせよ、とても個性的な感じがします。

パッケージ

アイボリーの地に緑とオレンジの2色で描かれています。オレンジ色の髪をして、オレンジ色のビールを手に持った、髭のおじさんが印象的です。ちょっと70年代を思い起こさせるような堅くてポップなラベルです。6角形の中に円形が組み合わされていて、私としては、しっかりした感じと丸い柔らかい感じと、真面目だけどフランク、そんな多面性を感じさせるラベルというような印象を持ちました。

その他

SulzbachersはJeremy Sulzbacherという人が2015年に始めた新しいビール会社のようです。「穀物不使用」を謳っているようです。人工着色料・保存料・香辛料・炭酸不使用の、オーガニックビールであることを売りにしています。ラベルにはGluten-Free グルテンフリーと書いてありますが、これはこれらの事を代表して分かりやすく健康的であるという事を示す言葉として使われているということでしょうか。2015年の健康志向ビール、新時代という感じがしますね。
公式サイトによると、グラスの15センチ上から注ぎ、2から3秒口に含んでから喉に流すようにと書いてあります。tippleとは英語で「酒を常習的に飲む」という意味だそうですが、公式サイトでは「これはtippleではなくてGinger tippleだ!」と強調されています。
余談ですが、アントワープはアニメで有名な「フランダースの犬」の舞台となった街です。ただ、現地の人にはあまり知られていない様で、アニメのゆかりの地として訪れるのは殆どが日本人だそうです。

おすすめ度 ★★★☆☆

全然美味しくないわけではないですよ!珍しい、特徴的な味を求める人、あとは健康志向だったり、アレルギー物質を避けたい人には是非。ただ、普通に想像するようなビールっぽいビールを飲みたい人にはちょっといまいちに感じられるかもしれません。

余談をもう一つ…、ワーグナーのオペラ「ローエングリン」は10世紀のアントワープを舞台としています。このオペラは台本もワーグナーによって書かれていて、ローエングリン以降に書かれた「楽劇Musikdrama」ではなく、「ロマンティック・オペラ」と呼ばれている最後の作品です。1850年に作曲家として有名なフランツ・リストの指揮によって、ワイマール宮廷歌劇場で初演されました。バンダと呼ばれる、オーケストラピットとは別の所、このオペラでは舞台裏で演奏される吹奏楽を伴う大きな編成が必要になるオペラですが、特筆すべきはこれが史上初の完全な三管編成であるという事です。三管編成とは、フルート・オーボエ・ウkラリネット・ファゴット・トランペット・トロンボーンがそれぞれ3本ずつ使用されているという意味で、これによって同一の楽器(つまり同じ音色)で3和音を奏でる事ができるようになりました。今考えれば当たり前…なんて思ってしまうのですが、ハイドンから始まった交響曲の2管編成の歴史を動かした、歴史に残るオペラとなりました。
余談ついでにもう一つ…、ヒトラー率いるナチス・ドイツはワーグナーの音楽を多分に利用しました。強いドイツ、格好いいドイツ、ドイツこそ世界の支配者…そんなメッセージを伝える為でしょうか。ローエングリンの第3幕でハインリヒ王による「ドイツの国土の為にドイツの剣を取れ」という演説が、ドイツの戦意高揚のためなどの様々な機会に利用されたそうです。